「相手と直接会わずに、お金や離婚の話をまとめたい…」
「裁判所に行く交通費が、正直もったいない…」
「忙しくて裁判所に行くのがなかなか難しい…」
生活の中で起こるさまざまなトラブル。解決したい気持ちはあっても、時間的、経済的、そして精神的な負担を考えると、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そんな現代人の悩みに応える新しい紛争解決の形が「オンライン調停(ODR)」です。
この記事では、近年急速に注目を集めているオンライン調停について、その基本からメリット・デメリット、具体的な利用方法まで、網羅的に解説します。これからの時代、トラブル解決はスマホ一つで完結するかもしれません。
1. オンライン調停とは?新しい紛争解決のスタンダード
まずは、「オンライン調停」がどのようなものなのか、基本から見ていきましょう。
1-1. そもそも「調停」とは?裁判との違いをわかりやすく解説
調停とは、裁判官(または調停官)と、民間の良識ある人から選ばれた調停委員が間に入り、当事者同士の話し合いによって、円満な解決を目指す手続きのことです。
裁判が、法律に基づいて「どちらが正しいか」を判断(判決)するのに対し、調停は、あくまで当事者の合意形成をサポートする場です。そのため、より実情に合った柔軟な解決が期待できます。
| 調停 | 裁判 | |
| 目的 | 話し合いによる円満な合意 | 法的な判断による紛争解決 |
| 進行役 | 調停委員会(裁判官・調停委員) | 裁判官 |
| 雰囲気 | 非公開で、比較的穏やか | 原則公開で、厳格 |
| 結論 | 合意(調停調書) | 判決 |
| 特徴 | 柔軟な解決が可能 | 法律に基づいた画一的な判断 |
1-2. オンライン調停(ODR)の仕組みと従来の調停との違い
オンライン調停とは、この調停の手続きを、ZoomやMicrosoft Teamsといったウェブ会議システムを利用して、オンライン上で行うものです。ODR(Online Dispute Resolution:オンライン紛争解決)とも呼ばれます。
従来は、当事者双方が同じ日時に裁判所へ出向く必要がありました。しかし、オンライン調停では、自宅や職場など、インターネット環境のある場所ならどこからでも参加できます。
これにより、物理的な制約がなくなり、紛争解決がより身近で利用しやすいものになったのです。
2. なぜ、いまオンライン調停が注目されているのか?
オンライン調停は、なぜ今、これほどまでに注目を集めているのでしょうか。その背景には、法改正と社会の変化があります。
2-1. 法改正による後押しと社会のデジタル化
大きなきっかけとなったのが、令和4年(2022年)5月18日に成立した「民事訴訟法等の一部を改正する法律」です。(民事訴訟法等の一部を改正する法律について)この法改正により民事調停法や家事事件手続法も対象となり、裁判所の手続きにおいて、正式にウェブ会議システムを利用した調停期日(オンライン調停)が認められるようになりました。
特に家事調停(離婚や相続など)の分野では、2023年から段階的に運用が開始され、多くの家庭裁判所で利用可能になっています。
コロナ禍を経て社会全体のデジタル化が加速したことも、オンライン調停の普及を後押ししています。
2-2. 場所や時間に縛られないアクセシビリティの高さ
オンライン調停最大の魅力は、そのアクセシビリティの高さです。趣味の世界でネット囲碁が時、場所、相手の制約なく楽しめるように [1]、法的トラブルの解決もまた、オンライン化によって大きな利便性を手に入れました。
遠方に住む相手との調停
仕事や育児で家を空けられない
病気や障害で外出が困難
このような事情を抱える人々にとって、オンライン調停は唯一の、あるいは最も有効な解決手段となり得るのです。
3. オンライン調停のメリット・デメリットを徹底比較
便利なオンライン調停ですが、もちろん良い点ばかりではありません。メリットとデメリットを正しく理解し、自分に合った方法か判断することが重要です。
3-1. 【メリット】費用・時間・心理的負担を大幅に軽減
費用の削減:裁判所への往復交通費や、遠方の場合の宿泊費などが不要になります。例えば、東京-大阪間を新幹線で往復すれば約3万円の費用がかかりますが、これがゼロになります。弁護士に依頼する場合も、移動に伴う日当を削減できる可能性があります。
時間の節約:移動時間や待ち時間がなくなり、調停期日のために丸一日を確保する必要がなくなります。仕事や家庭のスケジュール調整が格段にしやすくなります。
心理的負担の軽減:相手方と直接顔を合わせる必要がないため、精神的なストレスが軽減されます。特に、DVやモラハラが絡む離婚調停などでは、安心して話し合いに臨めるという大きなメリットがあります。
例えば、北海道にお住まいの方が、沖縄に転居した相手方と離婚調停を行うケースを考えてみましょう。従来の方法では、調停期日のたびに飛行機での移動と宿泊が必要となり、一度で数万円から十数万円の費用と、移動を含め2〜3日の時間が必要でした。
しかしオンライン調停なら、自宅のPC前から参加できるため、これらの費用と時間がすべて節約できます。これは、多忙な方や遠方にお住まいの方にとって、計り知れないメリットと言えるでしょう
3-2. 【デメリット】IT環境やセキュリティ面の注意点
IT環境の準備:安定したインターネット回線、カメラ・マイク付きのパソコンやスマートフォン、静かでプライバシーが確保できる場所を自分で用意する必要があります。
ITリテラシー:ウェブ会議システムの基本的な操作に慣れていることが前提となります。操作に不安がある方にとっては、ハードルになる可能性があります。
セキュリティリスク:なりすましや通信の盗聴、情報漏洩といったリスクがゼロではありません。裁判所や民間のサービスでは、専用システムの利用や本人確認の徹底など、対策を講じていますが、利用者自身のセキュリティ意識も重要です。
その他:単にインターネットに繋がるだけでなく、話し合いの途中で音声や映像が途切れないよう、安定した光回線などの利用が推奨されます。また、背景に個人のプライバシーに関わるものが映り込まないようバーチャル背景を設定したり、家族など同居人に会話の内容が聞こえないようイヤホンやヘッドセットを使用したりといった配慮も、円滑な進行とトラブル防止のために重要です。
4. こんなお悩みに!オンライン調停が活躍する3つの典型的な場面
オンライン調停は、具体的にどのようなトラブル解決に有効なのでしょうか。代表的な3つのケースをご紹介します。
4-1. 【離婚調停】遠方に住んでいても、顔を合わせずに話し合いが可能に
離婚を決意したものの、相手がすでに遠方に引っ越してしまった、あるいは、感情的な対立が激しく、同じ空間にいることすら苦痛だ、というケースは少なくありません。オンライン離婚調停なら、物理的な距離や感情的な壁を越えて、養育費や財産分与といった実質的な話し合いに集中できます。
4-2. 【金銭トラブル】少額の債権回収も迅速かつ低コストで
「貸したお金が返ってこない」「売掛金が支払われない」といった金銭トラブル。被害額が数万円から数十万円の「少額債権」の場合、弁護士費用や裁判費用を考えると、泣き寝入りしてしまうケースが多くありました。オンライン調停は、費用を抑えつつ迅速な解決を目指せるため、こうした少額トラブルにも適しています。
4-3. 【近隣トラブル】感情的な対立を避け、冷静な解決を目指す
騒音やゴミ出しのルールなど、近隣トラブルは日常生活に密接している分、感情的になりがちです。オンライン調停を利用すれば、直接顔を合わせることなく、調停委員という第三者を介して冷静に話し合えるため、問題がこじれる前に関係修復を図れる可能性があります。
5. どこでできる?裁判所のオンライン調停と民間のオンライン調停
オンライン調停を利用するには、大きく分けて「裁判所」と「民間サービス」の2つの選択肢があります。
5-1. 家庭裁判所・民事調停でのWeb会議の現状と利用方法
全国の家庭裁判所や簡易裁判所では、「Web会議による調停」が導入されています。離婚や相続などを扱う家事調停、金銭トラブルなどを扱う民事調停の多くが対象です。
利用システム:主にMicrosoft Teamsが利用されています。
利用方法:調停を申し立てる際、または申し立てられた際に、Web会議の利用を希望する旨を裁判所に伝えます。ただし、当事者双方の同意と、裁判所が適当と認めることが必要です。
本人確認:事前に運転免許証などの本人確認書類の写しを提出する方法が一般的です。
効力:オンラインで調停が成立した場合、裁判所で成立したのと同様に、**確定判決と同じ強い効力を持つ「調停調書」**が作成されます。これにより、相手が合意内容を守らない場合は、強制執行も可能です。
5-2. 民間ADRサービスの特徴と選び方のポイント
裁判所以外にも、法務大臣の認証を受けた民間のADR(裁判外紛争解決手続)機関が、オンライン調停サービスを提供しています。
代表的なサービスとして「OneNegotiation」や「wakai」「teuchi」などがあります。
特徴:裁判所よりもさらに柔軟で、迅速な解決が期待できます。特定の分野(例:金銭トラブル、IT関連紛争など)に特化した専門家が調停人となる場合が多いです。
料金体系:サービスごとに異なり、申立手数料や、解決額に応じた成功報酬が設定されていることが一般的です。
効力:民間ADRで成立した合意は、原則として**当事者間の契約(和解契約)**と同じ効力を持ちます。裁判所の調停調書のように、それ自体に強制執行力はありません。ただし、合意内容を公正証書にしておくことで、執行力を確保することは可能です。
| 裁判所のオンライン調停 | 民間ADRのオンライン調停 | |
| 実施機関 | 家庭裁判所・簡易裁判所など | 法務大臣認証の民間機関 |
| 調停人 | 裁判官・調停委員 | 弁護士、司法書士等の専門家 |
| 費用 | 収入印紙・郵便切手代など(安価) | 申立料、成功報酬など(多様) |
| 合意の効力 | 強い(確定判決と同様・強制執行可) | 契約上の効力(強制執行には別途手続きが必要) |
| 特徴 | 手続きが厳格で公的 | 柔軟・迅速で専門性が高い |
6. オンライン調停の具体的な流れを5ステップで解説
では、実際にオンライン調停を利用する場合、どのような流れで進むのでしょうか。ここでは一般的な流れを5つのステップで解説します。
6-1. 申し立てから相手方の同意まで
まず、当事者の一方が裁判所や民間ADR機関に調停を申し立てます。その際、オンラインでの実施を希望する旨を伝えます。機関は相手方に連絡を取り、調停に応じるか、そしてオンラインでの実施に同意するかを確認します。
6-2. オンラインでの期日調整と事前準備
双方の同意が得られたら、調停を行う日時を調整します。その後、機関からの案内に従い、ウェブ会議システムのアカウント作成や、PC・スマホの動作確認を行います。必要に応じて、主張をまとめた書類や証拠などを事前に提出します。
6-3. 調停当日の進め方と注意点
指定された日時に、招待されたURLなどからウェブ会議に入室します。調停は、調停委員が当事者双方から交互に話を聞く形で進められるのが一般的です。相手方と直接話すことは基本的にありません。静かで、第三者に会話が聞こえないプライベートな環境で参加することが重要です。
6-4. 調停成立・不成立の場合のその後の手続き
話し合いの結果、双方が合意に至れば「調停成立」です。裁判所の場合は「調停調書」が作成され、手続きは終了します。合意に至らなければ「調停不成立」となり、裁判など次のステップに進むかどうかを検討することになります。
7. スマホで手軽に!株式会社DDRが提供するスマホ調停「wakai」の特徴とは
数ある民間サービスの中でも、特に「スマホでの手軽さ」と「離婚調停」に特化して注目を集めているのが、株式会社DDRが提供する**「wakai」**です。(2025年9月末リリース予定)
7-1. wakaiが選ばれる理由と他のサービスとの違い
「wakai」は、その名の通り、離婚調停や離婚にまつわるトラブルの解決に特化したオンライン調停(ODR)サービスです。
最大の特徴は、スマートフォンアプリで手続きの多くが完結する手軽さと、弁護士などの専門家が調停人として迅速な解決をサポートする点にあります。遠方にお住まいの方、多忙な方、また様々な事情で相手と直接会わずに解決したい方にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
7-2. 離婚前の悩みにも対応する関連サービス
「wakai」を提供する株式会社DDRは、調停サービスだけでなく、離婚を回避したい、または円満な解決に向けて準備したいと考える方々をサポートする関連サービスも展開しています。 例えば、同社の「離婚yobo」(https://ddrwakai.co.jp/lp/yobo/)というサービスでは、いくつかの質問に答えることで現状を分析し、行動の指針を示すレポートを提供するなど、調停に至る前の段階から悩みに寄り添う仕組みを整えています。
8. まとめ:オンライン調停を賢く利用し、円満なトラブル解決を実現しよう
今回は、新しい紛争解決の形である「オンライン調停」について、網羅的に解説しました。
オンライン調停のポイント
・ウェブ会議で行う調停で、場所や時間の制約がない
・費用や心理的負担を軽減できる大きなメリットがある
・IT環境の準備やセキュリティ面には注意が必要
・公的な「裁判所」と、柔軟な「民間ADR」の2種類がある
・離婚、金銭、近隣トラブルなど幅広い問題に有効
トラブルは、誰にとっても避けたいものです。しかし、もし直面してしまったとき、解決のための選択肢を知っているかどうかで、その後の人生は大きく変わります。
オンライン調停は、これまで法的トラブルの解決をためらっていた人々にとって、力強い味方となる可能性を秘めています。この記事を参考に、あなたのお悩みに合った解決方法を見つける一助となれば幸いです。

