離婚や別居の話し合いになると、耳にする機会が増える「親権」と「監護権」。言葉は似ていますが、役割や決め方には明確な違いがあります。そこで今回は、法律用語をできるだけやさしく噛み砕きながら、両者のポイントを5つの視点で整理しました。基本を押さえておくと、手続きや話し合いのときに戸惑いにくくなります。
親権と監護権のざっくり定義
親権(しんけん): 未成年の子どもを保護・教育し、財産を管理する総合的な権限です。民法第820条〜第824条などに規定され、戸籍上は必ずどちらかの親に帰属します。親権には「身上監護権(子どもの身の回りを世話する権限)」と「財産管理権」の2つが含まれます。
監護権(かんごけん): 子どもの日常生活を世話し、教育・しつけを行う権限。衣食住の世話、学校への通学、医療の受診など、生活に直結する権利義務を担います。法的には親権の一部に含まれる概念ですが、実務上は「日常的な子育ての権限」として扱われます。
イメージ図:
親権 = “法律上の大きな傘”
監護権 = “傘の下での日々の育児・世話”
監護権だけを分けるケースとは?
離婚後、親権は父/監護権は母 といった形で分けることも可能です。これは「親権者=財産管理・進学手続きなどを担当」「監護権者=日々の養育を担当」という住み分けです。
典型例としては、親権者が仕事で遠方に住んでいる一方、子どもは環境を変えずに母と暮らす場合などがあります。ただし監護権の分離は、子どもの生活に混乱を生じやすいため、家庭裁判所でも慎重に判断される傾向があります。
決定の流れと主な判断材料
親権・監護権の帰属は以下の流れで決まります。
- 協議: まずは父母間で話し合いによる合意を目指す
- 調停: 合意ができない場合、家庭裁判所で調停を行う
- 審判/裁判: 調停でも決まらないとき、裁判官が判断
判断基準としては、子どもの年齢・生活環境の安定性・養育意欲・経済力・親子関係の密接度などが考慮されます。裁判所は常に「子の福祉(子どもの利益が最優先)」を基本に判断します。
共同親権が議論される背景
国際的には、離婚後も父母が共に親権を持つ共同親権が主流の国が多くあります。例えば欧米諸国では、離婚後も両親が法的責任を分担するのが一般的です。
日本では2024年の民法改正で、2026年から離婚後の共同親権が選択可能になります。これにより「父母双方が育児に関与しやすくなる」一方で、トラブル発生時にどのように合意形成するか、またDVや虐待ケースをどう防ぐかが大きな課題です。
よくある誤解3つ
- 「親権=子どもと必ず同居できる」
→ 親権を持っていても、実際の同居相手(監護権者)は別の場合があります。 - 「親権を渡すと面会できない」
→ 面会交流(子どもと会う権利)は親権と切り離して定められます。親権がなくても、原則として面会交流の機会は保障されます。 - 「監護権者は子どもの財産管理ができる」
→ 財産管理権は親権に含まれ、監護権者だけでは行えません。
まとめ
- 親権は「法律上の包括的な権限」、監護権は「日常的な育児権限」。
- 両者を分けることも可能だが、子どもの生活安定が最優先。
- 決定は協議→調停→裁判の順で進み、常に子どもの利益が判断基準。
基本の違いを理解しておくと、話し合いの際に“何を決めればよいか”が整理しやすくなります。迷ったときは弁護士や専門家に相談し、子どもにとって最良の環境を一緒に探っていくことが大切です。

